人はなぜ信じるのか 1/3

1. 安全性を信じていた原子力発電。一度信頼が損なわれると、疑いが入る。元に戻るためには、信頼の回復が必要となる。 2. スーパーに並んでいる食品。信用を基礎として日常生活の中に在る。食品を買う時安全か安全でないかあまり意識しない。毒物混入事件で信頼性が破れると安全性を意識し、検討してから買うようになる。時が経つと信頼が元に戻る。私たちの生活は信じていないと成り立たない事を示している。現在は、信頼性が激しく揺さぶられている時代である。信じる事と知る事とは深い関わりがある。知ることは社会的な事なのである。自分だけで得る知識は限られている。人から聞く、本を読む(他の人が書いている)、等、知るには他人との関わりが必要で、知る事は他人も必要としている。言葉はコミュニケーションの道具の一つ。私たちはこの社会的な道具によって、社会の伝統や習慣を知り、他人と関わる。科学者によって目に見えない電子の存在を知り、学校の先生によって、生きていくうえで必要な知識を学ぶ。 3. 信じる事、知る事は三角構造を持つ(図参考)。三要素は「私」、「相手」、「目的(信じられている真理、理念、理想、他)」。目的が科学である場合、科学者が得た知識を信じ、科学者を信じている。もし、科学者が名声他の動機を持つなら直ちに信じない。 

人はなぜ信じるのか 2/3

キリスト教では三角形の頂点に来る目的は「神」である。他の言葉で表現すると、私たちを超えた偉大な「存在者」であり、その共有がどのように行われているのか。 4. 「信じる」を他の面から考える。信頼と信実(忠実)。友情が真実である条件はこちらから友人に真実である事。信仰は神への信頼、神への信実。私たちを超えた偉大な存在者に信頼し信実である事。他の人と存在者を共有すること。サッカー選手は「サッカー」という対象に信頼しサッカーするのに相応しい体調を維持するように努める。そのようにしている選手達は互いにそのような心情・生活態度を共有している。 5. 三角形の頂点の目的。神、地上の国、家庭、社会的地位、スポーツなど。それぞれの目的が私たちの行動を決める物差しを決める。私たちが困ったことになるのは、「目的」によって異なる。それがスポーツの時、病気、怪我などで壊れ、地上の国の時、敗戦で崩れる。疑い、と言う言葉は、英語でもドイツ語でも「二つ」の意味の単語から生まれた。素直に信じられない二つの状態。口と心が違う、言葉と行いが違う、等。「信」という漢字は人べん(人)に言葉(言)。人の言葉と行いが深いところから出ていて信じる事ができる、という意味を持つ。 6. 人は信じないでは生きられない存在。信じる事を取り戻すように。キリスト教信仰の立場で考える。 

人はなぜ信じるのか 3/3

信仰の基本はナザレのイエス。神を信じ人を愛した方。イエス・キリストは不信と闇の真っただ中に来られた。十字架上の死が必然的に来る。聖書は十字架のみを語らない。イエスキリストの復活を語っている。神はイエスを裏切らず、私たちを裏切らない。信頼を築く力が与えられる。神は信頼できる方である。信実を保たれ高めるように働かれる。神の信頼を信実に生きるとき、ご自身の信頼性を人々に示される。人を信頼する人の性質は信実な事に敏感である。骨董品を商う人はいつも本物に触れて真贋を見分ける訓練をする。信実な信仰者は神の信頼性にいつも触れているため、神を信頼し、真贋を見分ける。 7. 信じることは、人として生きことと切り離しては考えられない。信実と信頼。人を超えた偉大な「存在者」を信じているために信じる。キリスト者の信仰によると、創造者なる神、イエスキリストによって「存在者」を知る。キリスト教の神以外に神の可能性はあるのか。人は他の人との関わりなしには生きて行けない。一人で生は完結しない。人は社会的な存在である。他者が必要な理由は? 創世記1章の創造の箇所に「ご自分にかたどって人を創造された」とある。男と女を創造された。神にかたどって創られた人は他者を必要とする。「一人で居るの良くない」。他の人との関わりなしに生きて行けない。「我々にかたどり、我々に似せて・・・」とある。直ちに三位一体の神とは行かずに、展開の段階がある。我々が社会性を持つのは、三位一体の神が互いに交わりをもって存在され、被造者である我々も交わる他者を必要とするからである。神は三位一体の神であり、ご自身の中で交わりを持っておられる。同根の一神教の信仰が他にある。人は他者との関わりなしに生きてゆくことができない存在である。人を超えた偉大な存在者、全宇宙・世界の創造者は三位一体の神である。 教会という神の共同体は、父・子・聖霊である三位一体の神を信じる。

 人はなぜ信じるのか 1/3

開催日: 2015年6月22日  於: 日本基督教団 茨木教会 
後援: 東京神学大学大阪後援会 東京神学大学大阪地区同窓会